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『アイ・エム・プレス』西村道子編集長インタビュー【第2回】 時代を超えて通用する「顧客への洞察に基づく売れる仕組みづくり」とは

1995年に『アイ・エム・プレス』を創刊し、現在までマーケティング、とりわけダイレクト・マーケティングをはじめとするインタラクティブ・マーケティングの最新トレンドをウォッチしてきた株式会社アイ・エム・プレス代表取締役社長の西村道子氏。

2014年の『アイ・エム・プレス』の終刊後は、「インタラクティブ・マーケティングまとめサイト」を開設。同サイトに『アイ・エム・プレス』に掲載されたケーススタディ(企業事例)を順次、無料公開するとともに、ブログ「西村道子コラム」を通じた情報発信を続けている同氏に、ダイレクト・マーケティングの変遷や課題、そして今後の展望などについてお伺いした。


I.M.press 西村道子氏

株式会社アイ・エム・プレス代表取締役社長/「インタラクティブ・マーケティングまとめサイト」編集長
西村道子様

【第2回】変わらないことは「顧客の洞察に基づく売れる仕組みづくり」

■あらゆるマーケターがダイレクトマーケターになる時代

■「who=誰が?」が変わることによって「what=何を?」も変わる

■「顧客への洞察に基づく売れる仕組みづくり」という普遍的な視点

■「見える化」による「売れる仕組みづくり」

■テクノロジーが発展しても、肝心なところはちゃんと人間がイマジネーションを働かせなければ顧客洞察はできない。


 あらゆるマーケターがダイレクトマーケターになる時代


― ターゲット顧客や見込客と直接コミュニケーションを行うというのが、ダイレクト・マーケティングの基本だと思いますが、過去から現在までどのように変遷してきたのでしょうか。

西村氏:では、「誰が(Who)、何を(What)、どのように(How)?」という枠組みに従って、ご説明しましょう。

WHO

【 who 】
「あらゆるマーケターがダイレクトマーケター」

まずは「who」=「誰が」について。かつて、ダイレクト・マーケティングのプレイヤーと言えば、通信販売専業者や店舗小売業の通信販売部門が主体でしたが、その後1980年代になると、メーカーや商社などが業種・業態を問わず、通信販売を手掛けるようになってきました。また、1990年代には、店舗小売業やサービス業も、ストアカードやポイントプログラムを展開することによって顧客データベースを構築し、顧客データに基づくプロモーションを行うようになってきました。

さらに2000年代に入ると、インターネットがマーケティングに本格活用されるようになりました。ほぼすべての企業が自社のWebサイトを開設し、顧客からの直接の問い合わせを受けるなど、エンドユーザーとのインタラクティブなコミュニケーションなしにビジネスを展開することはほとんど考えられなくなり、「あらゆるマーケターがダイレクトマーケター」などと言われるようになりました。


 「who=誰が?」が変わることによって「what=何を?」も変わる

【 what 】 主体(who)の変化に伴い変化する

【 what 】
主体(who)の変化に伴い変化する


西村氏:
次に「what」=「何を」の視点ですが、これは「Who」=「誰が」と密接に絡んでいます。通信販売会社の場合は、単純に商品やサービスを販売するということになりますが、店舗小売業などに広がってくると、単純に「〇〇を買ってください」というだけではなく、「ご来店ください」とか、「まとめて買っていただけるとこんな特典を差し上げます」など、店舗集客や販促色の濃いメッセージが加わってきます。

また、ダイレクト・マーケティングの盛んなアメリカでは、NPOなどによる募金集めや大統領選などにも積極的に活用されています。そうなると、主体は企業だけではなく、病院や学校、政治家やNPO、NGOへと広がっていきます。そして主体の変化に伴い、「what」=「何を」も変化し、「骨髄バンクにドナー登録しませんか?」とか、「どうか私に清き一票を!」などのメッセージになってくるわけです。


― ただ、ダイレクト・マーケティングの根幹である、「何らかのアクションをしてもらう」「レスポンスしてもらう」ということころは共通していますね。

【how】 アナログからデジタル様々なコンタクト方法がある

【how】
アナログからデジタル様々なコンタクト方法がある

西村氏:はい。そこは変わらないところです。さて、さまざまな企業や組織が主体を担うようになってきたことと並行して、テクノロジーの進展によって、どのように=Howも大きく変化してきました。

Howの変化は、ひとことで言えばオフラインからオンライン、アナログからデジタルへの広がりです。インターネットが浸透し、多様なメディアが登場するとともに、それらがダイレクト・マーケティングに活用されるようになってきたことですね。これまでのダイレクト・マーケティングの変遷ということでは以上のように説明できます。

― 「Who」「What」「How」というのは非常に分かりやすい切り口ですね。


 「顧客への洞察に基づく売れる仕組みづくり」という普遍的な視点


― ダイレクト・マーケティングにおいてもテクノロジーが大いに活用されるようになりましたが、たとえテクノロジーが進化しても変わらない、大切な考え方や視点があると思います。西村さんとしては、それはどんなことだとお考えでしょうか?

西村氏:時代を超えて通用する「普遍的な考え方または視点」という意味で申し上げると、それは「顧客への洞察に基づく売れる仕組みづくり」だと考えています。

まず、「顧客への洞察」というところについては、「顧客中心」や「顧客視点」、「顧客起点」、さらにひらたい言い方だと「顧客志向」という表現もありますね。これまで私も含めて、いろんな方がこれらの言葉を使ってきました。しかし、いずれの表現を用いるにせよ、これを実現するためには「顧客への洞察」が欠かせません。それは、要するに、「顧客の立場に立って物事を考える」ことだと思っています。


 「見える化」による「売れる仕組みづくり」


西村氏:「売れる仕組みづくり」については、ダイレクト・マーケティングによる「見える化」が鍵を握っている
と考えています。

見える化が鍵

「見える化」が鍵

ダイレクト・マーケティングによって見える化できるものはいくつかありますが、まず1つ目に挙げられるのは「顧客の見える化」です。これは、先ほどの「顧客への洞察」にも重なりますが、ダイレクト・マーケティングでは、どのお客さまが何を買ったのか、どのような反応をしたのかが把握できる。単に名前や住所だけではなく、行動履歴やアンケートを通して、どんなお客さまなのかを深く理解できるようになってくる。すなわち顧客が見えてくるのです。

また、ダイレクト・マーケティングでは、マーケティング・コミュニケーション施策の「投資対効果を見える化」できます。レスポンスが何%だったのか、また、何人が来店して、そのうち何人がいくら買ってくれたのかなど、たとえ中間流通チャネルが介在するなどして最終的にいくら売れたのかが分からない場合でも、サイト訪問数や資料請求数、試供品請求数などの中間指標を数値として把握できます。つまり、ダイレクト・マーケティングでは、プロセスも見えれば、最終的な投資対効果も測定可能なのです。

― ダイレクト・マーケティングではプロセスと投資対効果を見える化できるので、テストを繰り返しながら最適化していける、そして成功パターンとしての「売れる仕組み」が作れるということですね。

西村氏:そうです。それが「売れる仕組み」ができる、ということなのです。


 テクノロジーが発展しても、肝心なところはちゃんと人間がイマジネーションを働かせなければ顧客洞察はできない。


― 「顧客の洞察」に関してもう少し掘り下げてお聞きします。
例えば10%割引クーポンを配信すれば顧客が反応する、それでダメなら15%、20%引きにして配信しよう、というような、金銭的なインセンティブを与えさえすれば反応するだろうといった安直な発想が、一部のテクノロジー寄りのデジタルマーケターの中にあるように見受けられます。このあたりの現状についてどのようにお考えですか?

西村氏:客数×客単価=売上高という企業側の論理でしか発想していないのではないでしょうか。しかし、価格のみに依存していたのでは、いずれ限界がくることは目に見えています。

個客の購買行動プロセスについては、AISASやカスタマージャーニーなど様々な考え方がありますが、顧客が購入する前にどんな経路をたどるのかをマーケター自身がどこまでリアルに想像できるか、ということが大事だと思います。

あるコールセンターでは200以上のKPIを設定し、それぞれの目標値を定めているそうです。しかし、それらを全てクリアすることに縛られていたら、オペレーターは、お客さまに関するイマジネーションをわかせることはできるのだろうか?と思うんです。

マーケティングオートメーションなどのテクノロジーツールの設定は、かなりの煩雑さが伴うがゆえに、似たような部分があるのではないでしょうか。そうした事態を見聞きするにつけ、あまりに細部にわたるルールを設けると、マーケターたちがお客さまのことについて自由にイマジネーションを膨らませる気持ちの余裕が失われてしまうのではないかと懸念しています。

もちろんすべてを手作業でというのも現実的ではないのですが、テクノロジーは活用するとしても、肝心なところでは人間のイマジネーションがちゃんと機能するようにしておかないと、あらゆるサービスが均質化して、つまらない世の中になってしまうのではないでしょうか。


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